──スコープが曖昧なまま訓練しても、改善点が永遠に収束しない理由
「毎年PDCAで回せ」
BCPの世界では、よく聞く言葉です。実際、国のガイドラインもBCPを含むBCMの実施方法等を示し、企業・組織の自主的な事業継続の取組を促すことを目的にしています。
でも現場では、こういう状態が起きます。
訓練はやっているのに、毎年同じ反省が出る
記録は残しているのに、計画が良くならない
直す場所が増えていく一方で、収束しない
これが「PDCAの儀式化」です。
そして儀式化する会社には、はっきりした“共通点”があります。
全部守ろうとして、何も守れない。
BCPは「全部を完璧にやる」計画ではありません。
建設業は特に、現場・協力会社・資機材・対応業務が広い。だから、最初に決めるべきは 適用範囲(スコープ) です。
スコープが決まらないと、次が決まりません。
どの拠点・どの現場まで対象か
協力会社をどこまで巻き込むか
何を“重要業務”として守るか
どの時点でBCM(運用モード)に切り替えるか
この状態で訓練しても、改善点は毎回バラバラに増えます。
なぜなら、「何を良くするための訓練か」が定義されていないからです。
証跡(エビデンス)を残すことと、改善が進むことは別です。
たとえば 高松市 の総合評価資料では、災害時の活動体制の加点に関して、
「緊急時の社内の連絡体制表」や「自社で保有している資機材の一覧表」など、求める書類要件がかなり具体です。
ここで多い失敗はこうです。
“書類を揃える”ことが目的になり、運用が置き去り
記録はあるが、「次に何を変えるか」が残らない
記録が“良かった点メモ”で終わり、改善に接続しない
つまり、PDCAのP(計画)とC(評価)の間にあるはずの
**「判断基準」と「優先順位」**がない。
改善点が収束しない会社は、毎回こうなります。
「あれも足りない」「これも直そう」
改訂でBCPが太っていく
結局、現場は読めない・回せない
改善が効くのは、「限られた範囲(スコープ)」に対して、
一点突破で改善するときです。
香川県 の建設業BCP認定の審査要領でも、書類審査+面接審査を前提にしつつ、確認項目・確認ポイントを踏まえて基礎的な事業継続力を見に行く構造になっています。
さらに 四国地方整備局 の審査要領(概要)では、継続更新で「訓練の実施」「見直し」が少なくとも年1回行われているか確認する、と明記されています。
つまり制度側が本当に見ているのは、
**“毎年ちゃんと良くなっているか”**です。
(分厚いBCPを作ったか、ではありません)
ここでいう設計図は、テンプレではありません。
次の問いに“自社の言葉”で答えられる状態を指します。
スコープ:うちは「どの現場・どの業務」まで守る?
切替条件(トリガー):何が起きたらBCMに切り替える?
意思決定:止める判断/再開判断は誰がする?代替は?
重要業務と目標時間:何をいつまでに再開する?根拠は?
資源:人・機械・資材・協力会社が不足したら何を切る?
証跡:連絡体制・資機材・訓練の“証拠”は何で残す?
改善:次回までに“1つだけ変えること”は何?期限と担当は?
この7つが揃うと、PDCAは儀式ではなく「改善装置」になります。
国の資料は定義の土台になります。たとえば 関東地方整備局 は、BCPを「重要業務が(なるべく)中断しない/中断しても短期間で再開する」ための計画として説明しています。
この定義に照らして、スコープを狭くてもいいから固定します。
複数災害を一気にやると、改善点が散ります。
まずは地震/豪雨/停電など、どれか1つ。
目的は「回すこと」ではなく「次が良くなること」。
改善点を全部直さない。
次回までに1点だけ直して、履歴を残す。
これを繰り返すと、改善点が収束し始めます。
原因はだいたい3つです。
スコープがない
記録が改善に繋がっていない
改善が全部直しになっている
そして国のガイドラインは、事業継続を「自主的な取組」として進める思想を明確にしています。
だからこそ、外注で“完成”させるより、自社で回せるBCMにすることが本質です。
当社が「伴走型自立」を掲げるのは、最後に困るのが社長さまと総務・危機管理担当者だからです。
国のガイドラインは、事業継続を**「自主的な取組」**として進める考え方を示しています。
だから私たちは、丸投げで終わらせず、自社で回るBCMになるまで伴走します。