第1話では、まず 国→県→市 の資料を集める話をしました。
でも、正直ここからが本題です。
資料を集めても――難しい。
それは当然で、BCPは「読んで終わり」の文書ではなく、運用(BCM)に落として初めて価値が出る設計図だからです。
そして国のガイドラインは、BCPを含むBCMの概要や方法を示すことで、企業・組織の自主的な事業継続の取組を促すことを目的にしています。
つまり「誰かに作ってもらって完成」ではなく、自社で回すことが前提です。
当社が「伴走型自立」を掲げるのは、最後に困るのが社長さまと総務・危機管理担当者だからです。
国のガイドラインは、事業継続を「自主的な取組」として進める考え方を示しています。
だから私たちは、丸投げで終わらせず、自社で回るBCMになるまで伴走します。
BCP資料は、いきなり“文章”を読まない方がいいです。
先に 「何を求めているか」→「何を証拠に出すか」→「どう回すか」 の順で読みます。
この順番にすると、テンプレBCPが一瞬で見抜けます。
まず国の資料では、BCPの定義を固定します。
例として 国土交通省 関東地方整備局 のガイドラインには、
「BCPとは何か」+「機能するために建設会社がしておきたい最低限の取り組み」が明確に書かれています。
ここで読むべきは、細かい書式ではなく次の2点だけです。
**“重要業務をなるべく中断させない/短期間で再開する”**という目的(定義)
最低限の取り組み=「これがないと動かない」という土台
さらに、制度や申請様式が更新されることもあります(例:入力フォーム導入など)。
→ だから「去年のやり方をそのまま」は危険です。
次に 香川県。
県は“何を良いBCPとみなすか”が、かなり設計図として出ます。
香川県の認定審査要領は、確認項目が整理されていて、特に 改善計画(F)と改善実施(G) を独立して扱っています。
ここが大事で、県は「計画を作った」より “改善が回っているか(回る設計になっているか)” を見に来ます。
読み取りのコツはこれです。
まず A〜E(重要業務・体制・拠点・情報共有・人員/資機材) を“スコープの骨格”として読む
次に F/G を“PDCAが儀式になっていないか”の判定として読む
高松市の資料は、現場にとって一番リアルです。
総合評価の細則や要領には、評価を受ける際に
緊急時の社内の連絡体制表(役割が明確)
保有資機材一覧(保管場所の条件つき)
など、“何を証拠として出すか”が具体に書かれています。
ここを読むと、BCPが「文章の上手さ」ではなく、
役割が割れているか
資機材が現実にあるか
どこに置いてあるか
という 実在の話になります。
テンプレBCPは、この「証拠」のところで破綻しやすいです。
ここが“本質”。
全部はできません。
だからBCPの出発点は「全部盛り」ではなく、適用範囲(スコープ)を決めることです。
スコープが曖昧だと、次のどれも決まりません。
どの拠点まで守る?
現場事務所と本社、どっちが意思決定する?
協力会社はどこまで対象?
“重要業務”って結局どれ?
この状態でPDCAを回しても、「ただ回しているだけ」になりやすい。
(見直しの“基準”がないから)
ここからは答え(テンプレ)ではなく、読み取りの観点だけ置きます。
「警報が出たら」ではなく、現場が行動に移れる条件になっているか。
誰が止めて、誰が再開判断するか。代替指揮はあるか。
人・機械・資材・協力会社が足りない前提で成立しているか。
高松市の例だと「連絡体制表」「資機材一覧」がまさに証拠です。
証拠がないBCPは、運用できません。
香川県の審査要領がF/Gを分けているのは象徴的です。
「改善します」だけで終わらせない設計になっているか、ここで見抜けます。
第2話の結論はこれです。
国:定義と最低限の取り組み(“BCPとは何か”)
県:審査の設計図(特に改善が回る構造)
市:提出すべき証拠(連絡体制・資機材など実在の要件)
そして最重要:スコープがあるか(全部できない前提で決めているか)
「PDCAが“儀式”になる会社の共通点」
──スコープが曖昧なまま訓練しても、改善点が永遠に収束しない理由。